トマトは南米ペルーが原産のナス科の野菜です。
16世紀にイタリアに渡って、ソースの材料として使われるようになり、ヨーロッパ各地に広まりました。
日本にも江戸時代にはすでに入っていましたが、当初は実の鑑賞用とするのが目的でしたが、食用として用いられるようになったのは明治以降のことです。
昭和になると誰もがトマトを食べるようになり、生産量が増え品種もさまざまなものが登場するようになりました。
和名も、はじめは唐柿。それが珊瑚樹なすとなり、赤なすへと変わりました。
品種には薄赤く(黄色く)熟す桃色トマトと、まっ赤に熟す赤色トマトがあります。
従来日本で食べられていたのは桃色トマトで、赤色トマトのほうは、主にケチャップや缶詰など加工品用に利用されていました。
しかし近年では、赤色トマトも生食用として人気が高まっています。
赤色トマトは、桃色にくらべると皮がかたく、果肉が練密で甘みも強いのが特徴です。
トマトは一年を通じて出回っていますが、旬はやはり夏です。
とくに7~8月、店頭に並ぶ露地もののトマトは、ハウスものにない自然の味が魅力的です。
西洋のことわざに「トマトが赤くなると医者が青くなる」というのがありますが、これは、トマトを食べていれば病気にかからないという意味で、それだけ機能性の高い成分を含んでいるということです。
昔からこのように広く庶民の間で、健康野菜として認知されていました。
トマトで特に目立つ成分はリコピンです。
赤く色づくほどリコピンは多くなり、また高糖度のトマトほど多いです。
リコピンの抗酸化作用はβカロテンの2倍ありガンや動脈硬化の予防にも役立つとされています。
リコピンには、トランス型とシス型の2タイプがあります。
一般のトマトにはトランス型が多く、このタイプは生では吸収されにくく、油に溶かしたり、加熱調理すると吸収率が向上します。
近年、オレンジ色のトマトには、生でも吸収されやすいシス型が多く含まれていることがわかり、注目されています。
トマトに含まれるβ-カロテンは抗酸化作用があり、皮膚や粘膜の健康を保って感染症を予防します。
また、トマトにはクエン酸やリンゴ酸も多く含まれていて、消化促進効果があります。
調理用トマトには、うまみ成分のグルタミン酸を多く含み、加熱することでとても美味しくなります。
トマトの選び方・保存方法
トマトには様々な種類がありますが、一般的に丸く手のひらにのせた時、ずっしりと重みのあるもの、ヘタがピンと逆立っているものを選びましょう。
鮮度はヘタで見分けます。
緑色でピンとしているものを選ぶと良いでしょう。
しおれていたり、黄色くなっているものは鮮度が落ちた証拠です。
皮につやがあり、丸みがあってよく張っていて、お尻に放射線状のはっきりとした線が均等に入っているものを選びましょう。
形が角張っているものは、中に空洞ができていることがあります。
生で保存保存する場合は、ヘタを下にしてラップやポリ袋に入れ冷蔵庫の野菜室で保存します。保存適温は7~10℃です。
青みの残っているトマトは、室温に置けば自然に熟れてきます。
青いものは未熟なので、室温で風通しの良いところで追熟させます。
冷凍保存する場合は、よく水洗いしてヘタを取り、水をよくきります。
解凍すると、サラダ以外の調理で利用でき、皮もむきやすくなります。
トマトの栄養素を引き出す調理法
油でサッと炒めてとろみをつければβ-カロテン&ビタミンCの吸収力UP
トマトの栄養素はリコピンが有名ですが、β-カロテンやカリウム、ビタミンCも豊富です。
β-カロテンには免疫力を高める働きや皮膚、粘膜の健康を保つ働きがあります。
また、カリウムにはむくみ解消が期待できます。
β-カロテンは熱に強く、油で炒めると吸収力が高まりますが、カリウムは水に溶け出し、ビタミンCは熱に弱いので、油で短時間で炒めて片栗粉でとろみをつけ、水分も一緒に取ることが望ましいです。