冬の果物といえば「みかん」というように冬の定番となっている果物ですが、みかんに含まれる栄養はどんなものがあるのでしょうか。さまざまな種類のみかんがあり、それぞれ味が違い美味しいですよね。今回は「みかん」に含まれる栄養について説明していきます。
みかんとは
ミカン科ミカン属に属する「みかん」は、旬は10月から1月です。みかんは日本を代表的する果物のひとつです。生のままで食べる他に、全生産量の約2割は缶詰やジュースに加工されています。皮は乾燥して「陳皮」として正薬として利用され、手足の冷えや腰痛の改善や肩こり、疲れをとるなどによいとされて、入浴剤などとして利用されています。
みかんの種類と産地
温州みかん
温州みかんは日本人に馴染みがあり、一般的に思い浮かべる「みかん」が温州みかんです。主な生産地は、和歌山県、愛媛県、静岡県です。名前の由来は、中国の有名なみかんの産地が「温州府」であることから、あやかってつけられました。温州みかんの誕生は、約400年前に鹿児島県の長島町で突然変異によってできました。温州みかんには種がないため縁起が悪いとされて、はじめの頃は九州の一部でのみ栽培されていました。全国的に栽培されるようになったのは、明治時代に入ってからです。
紀州みかん
和歌山県で多く生産されるため「紀州みかん」と名付けられたミニサイズの小さなみかん。紀州みかんは、中国から日本に伝わってきました。はじめは熊本県で栽培されたと言われています。
ポンカン
亜熱帯地方地域のインド、スンダラ地方が原産の「ポンカン」は温州みかんよりも厚い皮が特徴のみかんです。皮をむくと甘い香りが広がります。日本では温暖な気候の四国を中心に栽培されています。
デコポン
熊本県で多く栽培されているデコポンは、形が特徴的で頭のところがこぶのような形をしています。糖度が高いため、酸っぱいみかんが苦手な人でも食べやすくなっています。
みかんの実に含まれる栄養と効果
【ビタミンC】免疫力を高める効果が期待される
- 免疫力アップ
みかんには、ビタミンCが多く含まれています。ビタミンCには、血液中の白血球を助けたり、体内に侵入してきた細菌やウィルスなどを撃退する働きがあります。また、白血球を助けるとともに、ビタミンC自体にもウィルスや細菌に対抗する働きがあります。みかんに含まれているビタミンCには、免疫力を高めて風邪などの病気予防の効果が期待できます。
- 動脈硬化予防
高血圧や動脈硬化の原因は、血液中の悪玉コレステロールが増えることで、血管の内壁が脂質で厚くなってしまい血管を狭めることです。みかんに含まれるビタミンCには、血液中の悪玉コレステロールを減らす働きがあります。その働きのおかげで、動脈硬化などの病気の予防に硬化が期待できます。
- 美肌効果
みかんに含まれるビタミンCには、シミやそばかすのもととなるメラニン色素の原因になる「チロシン」を生成する酵素である「チロシナーゼ」を抑える働きがあります。そのため、メラニン色素の沈着を防ぐことが期待されています。みかんを食べることで、シミやそばかすの予防が期待できます。
- ストレス緩和
私たちの身体は、ストレスを緩和させるために「副腎皮質ホルモン」と、心地よい気分を作り出す「ドーパミン」や、気分を落ち着かせる神経電達物質である「GABA」を作り出します。ビタミンCには、この3つの物質の合成をサポートするという働きがあります。みかんを食べることで、ストレスをやわらげたり気持ちを鎮める効果が期待できるとされます。
【クエン酸】疲労回復効果が期待される
- 疲労回復
みかんに豊富に含まれているクエン酸には、疲労回復の効果があります。不規則な生活やストレス、激しい運動などによって細胞が酸化された状態になり修復が必要な時に疲労状態であると言われています。この細胞を修復するのに必要なエネルギーを作るのにクエン酸が役に立つと考えられています。疲れを感じる時にみかんを食べるといいでしょう。
- エネルギー生産効果
エネルギーとは、私たちが生きていく上でとても重要なものです。人間の身体の細胞は約60兆個ですが、その一つひとつの細胞でクエン酸回路を正常に行います。不規則な食生活を続けると、このクエン酸回路の働きが悪くなってしまいます。そうなると、体内でエネルギーがうまく作り出せなくなり代謝が悪くなってしまいます。みかんを食べてクエン酸を摂取することで、クエン酸回路の活性化を促し、エネルギーを効率よく作り出す効果が期待できるのです。
【カリウム】高血圧予防が期待される
- 高血圧予防
みかんには高血圧を予防する効果がある、カリウムが豊富に含まれています。食事で塩分を摂りすぎてしまうと、血液中のナトリウムが増えてしまい高血圧を引き起こしてしまうことがあります。カリウムの働きは、体内で余分なナトリウムを外に排出することです。この働きのおかげでみかんには、高血圧予防効果が期待されるのです。
みかんの皮に含まれる栄養と効果
【ペクチン】腸内環境を整えてくれることが期待される
- 便秘解消
みかんには「ペクチン」という水溶性食物繊維がたくさん含まれています。ペクチンは整腸作用があり、腸内環境を整える働きがあるため、便秘の改善に効果が期待できます。
- コレステロールを下げる
ペクチンは身体の中で、胆汁酸や食べ物からコレステロールが吸収されるのを防いでくれます。この働きのため、ペクチンにはコレステロール値を下げるという効果が期待されています。コレステロールの数値が下がると、高血圧や動脈硬化の予防につながるとされています。
- 疲労回復効果
ペクチンが腸内環境を整えることで、便秘解消の効果があります。腸は栄養を吸収できる場所でもあるため、腸内環境を整えるということは摂取した栄養をムダのないよう吸収することができるのです。そのため、疲労回復効果や体力の増強にも期待ができます。
【ヘスペリジン】血流を良くしてくれる働きが期待されている
- 血流を改善して冷え性予防
みかんの皮や白い筋、袋には「ヘスペリジン」という成分が豊富に含まれています。このヘスペリジンには、血流を改善する働きがあります。血液には酸素や栄養だけでなく、温度を全身に運ぶ役割があります。そのため、血液の流れが悪くなると手足の先まで血が行き届かなくなってしまうため、身体が冷えてしまい「冷え」の原因になってしまいます。みかんの白い筋や袋に含まれるヘスペリジンを摂取することで、血流を改善して身体を温める効果が期待できます。
- むくみ予防・改善
全身に酸素や栄養を運ぶ役割がある毛細血管は、透過性が良くても悪くても体に良いことを与えてくれることはなく、適度に保たれていなければなりません。毛細血管の透過性が良すぎてしまうと、むくみなどの症状を引き起こしてしまいます。ヘスペリジンには毛細血管の透過性を適度に保ち、毛細管を強くしてくれる働きがあります。さらに、みかんに含まれるカリウムが体内の余分な水分を排出する働きがあるため、みかんにはむくみの予防や改善に効果が期待されます。
- 高血圧の予防
血管を流れる血液が、血管の内壁に異常に高い圧力をかけている状態を「高血圧」と言います。高血圧が続くといろいろな症状が現れてきてしまいます。頭痛や動悸、息切れやめまい、手足のしびれなどです。ヘスペリジンには、高血圧を予防するのに効果的です。高血圧の人には、みかんの皮や白いすじをそのまま食べることをおすすめします。
- 花粉症予防
ヘスペリジンには、アレルギー反応による炎症を抑える働きがあります。その働きは花粉症予防にも効果的です。花粉症の症状として、目のかゆみゆや鼻水が出るなどの症状がありますが、ヘスペリジンの働きでそれらの症状を抑えることが期待されます。
- 骨粗しょう症を予防
ヘスペリジンには、骨密度の低下を抑える効果があります。骨粗しょう症とは、骨が形成されることと代謝によって骨が吸収されるサイクルが同じでなくなり、骨が吸収される速度が上回ってしまうために骨がスカスカになりもろくなる状態を言います。ヘスペリジンを摂取することで、骨粗しょう症を予防することができます。
みかんの豆知識
みかんは白いすじや袋ごと食べるといいって本当?
みかんを食べる時、白い筋や袋を捨てていますか?この白い筋には「ヘスペリジン」と呼ばれるビタミンと同じ作用を持つポリフェノールの一種が含まれているので、ビタミンCの働きをサポートすることで高血圧の予防や中性脂肪を分解してくれる働きもあります。
また、白いすじやみかんの袋には「ペクチン」という水溶性食物繊維が含まれています。食物繊維は腸内環境を改善する働きがあり、便秘の改善にも効果が期待されています。みかんの果肉にもペクチンが含まれていますので、袋ごと食べることでより多くのペクチンを摂取することができるのです。このことから、袋ごと食べることをおすすめします。
みかんを食べすぎると手が黄色くなるのはなぜ?
みかんをたくさん食べると、手が黄色くなることがありますがどうしてなのでしょうか。これは、みかんに含まれるβカロテンの影響です。βカロテンとは、緑黄色野菜などに多く含まれる天然色素の一種です。この色素の影響で、みかんをたくさん食べると手足や顔などが黄色くなることがあり、この症状のことを「柑皮症(かんぴしょう)」と言います。柑皮症は、手足が黄色くなるだけで他には症状が出ません。
妊婦はみかんを食べすぎるとよくないの?
みかんに含まれているβカロテンを摂取すると、体内でビタミンAに変換されます。妊婦はこのビタミンAの過剰摂取に注意しないといけないと言われています。妊婦がビタミンAを摂取しすぎると、胎児へのリスクが高まってしまいます。
しかし、みかんに含まれているβカロテンの特徴は、体内で「足りない分」をビタミンAに変えるというところです。ですから、体内にビタミンAが足りている場合は、βカロテンはビタミンAに変換されることはないのです。足りていれば、体外へ排出されます。ただ、みかんだけでなく、過剰摂取というのはあまりよいことではないので、適量を食べるようにしましょう。
おいしいみかんの5つの選び方
おいしいみかんの選び方は、下記のとおりです。
- 色が濃いもの
- 皮のきめが細かいもの
- 軸が細いもの
- 皮がしまっているもの
- 持った感じが重いもの
形は種類によって違います。一般的には平べったいものがおいしいと言われていますが、丸いほうがおいしい品種もあります。
皮をむいたら捨てずに活用
昔の人はみかんの皮を乾燥させてネットなどに入れ、お風呂に入れて入っていました。みかんの皮にはリモネンという成分があり、その成分がほのかな香りを出してリラックス効果を促進するのです。また、みかんに含まれるビタミンCがお湯に滲み出てきて、美肌効果を期待することができます。
みかんの皮にはクエン酸が含まれていますが、クエン酸には石鹸の汚れや水垢などのアルカリ性の汚れを落としてくれる力があります。このように、皮は捨てずに掃除やお風呂に活用できます。
みかんを食べて風邪予防しましょう
みかんには、風邪予防や美肌効果があります。これから寒くなり、風邪をひきやすくなったり、肌がカサカサになったりすることがあります。身体の免疫力を高め風邪を予防して元気に過ごせるように、食後にみかんを食べてみてはいかがでしょうか。