子供の成長に必要なカルシウムですが、現在カルシウム不足が深刻な問題となっています。現代の子どもは、一見するとスクスクと元気に育ってきているようにも見えますが、実は精神面・肉体面でさまざまなリスクを背負っています。特に骨に関しての問題は深刻。成長期の伸びる時期にはしっかり密度も高めないと骨折しやすいとも言われています。
まずはカルシウムが不足しているかどうか、簡単にチェックしてみましょう。
☆カルシウム不足度チェック☆
① 偏食が多い
② 1日3食きちんととっていない
③ 牛乳を飲む習慣がない
④ 集中力が持続しない
⑤ すぐに疲れる
⑥ 情緒不安定な面が見られる
⑦ 生活リズムが一定でない
⑧ 学校から帰って来ても、外で遊ばない
いくつ当てはまりましたか?当てはまる項目数が多いほど、不足度は高いという事になります。
なぜカルシウム不足が起きているのでしょうか?そして不足を予防するにはどうすればよいのでしょうか?今日は体に必要な栄養素「カルシウム」について学んでいきましょう。
≪カルシウムの効果≫
カルシウムの効果と聞くと、どんなものを思い浮かべますか?たいていの方は、歯や骨を丈夫にするという効果を思い浮かべるのではないでしょうか?しかしそれ以外にも、とてもたくさんの効果があるのです。
効果1・歯や骨を丈夫にする
カルシウムは歯や骨の成分に多く含まれています。特に骨の場合、その主成分にもなっています。ですから、バランスよく摂取すると歯や骨を丈夫にする事ができます。
効果2・筋肉の働きを滑らかにする
筋肉細胞にとって潤滑油のような役割を果たす成分です。量が不足すると、筋肉がけいれんを起こしたり、硬くなりやすくなってしまいます。ですから、運動をする時に自分の能力を最大限発揮するには、カルシウムが欠かせないのです。
効果3・精神状態を安定させる
カルシウムが足りなくなると、イライラしやすくなると考えていませんか?実はこれは、医学的な見地からすると少し説明が足りない表現になっています。不足が、直接イライラを引き起こしているわけではないのです。なぜなら、仮に体内で不足しても、それを補うために骨からカルシウムが溶け出し、血液中の濃度がキープされるためです。カルシウムがなくなるとイライラするという現象は、正確には以下のように説明することができます。【不足→骨からカルシウムが溶け出す→何らかの肉体的トラブルを抱える→精神状態が正常ではなくなる(イライラする)】ですから、常に精神状態を安定させるためにはカルシウムが欠かせないのです。
効果4・肩こりを予防する
カルシウムと肩こりの間には、大きな関係があることがわかっています。これは具体的には、以下のようなメカニズムにより説明することができます。【不足→骨からカルシウムが溶け出す→筋肉・骨格バランスがみだれる→肩こりになる】ですから、日ごろからバランスよく摂取していると、肩こりの予防にもなるのです。
効果5・骨粗鬆症(骨粗しょう症)を予防する
カルシウム不足が骨粗しょう症のような大きなトラブルを招くことがあります。逆に言えば、バランスよく取るとこのようなトラブルを事前に避ける事ができるというわけです。
≪不足の原因は?≫
原因1・食生活
子供の不足の原因は、大人と同じく食生活に大きな原因があります。子供の食生活や好き嫌いは現在、大幅に欧米化しているため、牛乳・野菜・小魚などから取る習慣が少なくなってしまいましたよね。また家族そろって食事をすることが少なくなり、手軽なレトルト食品などで食事を済ませてしまう傾向も、この症状を加速させています。
原因2・遊び
子供の不足の原因として、遊びの質が変わった事もあげられます。日光に当たる事で体内に取り入れられますが、子供の遊びが外遊びからゲームなどの室内への遊びへと変わってしまいましたよね。この事が、ただでさえ食生活の欧米化で進行している不足を、さらに高めてしまっているのです。
≪不足するとどうなる?≫
子供の不足の症状も、大人に比べて基本的にはそれほど違いがありません。しかし子供の場合、以下の点においては、特にカルシウム不足の症状が現れてしまいます。
症状1・成長
子供の不足の最も大きな症状として、不足が子供の成長の妨げになるという事があげられます。子供の成長の中でも、特に骨に大きく関係があるため、必要量を取らなければ、身長の伸びが止まってしまう事もあります。「身長を伸ばしたければ、子供のうちにたくさん牛乳を飲もう!」というのは、それほど的外れではないのです。
症状2・イライラ
子供の不足の症状として、イライラ感もあげられます。子供の場合も大人と同じく、不足しているからといって、直接イライラに結びつくわけではありません。しかし不足による脳機能の低下により、イライラしたりキレたりする事は十分あるのです。また子供の場合、精神のコントロールの仕方が未熟なため、この症状が大きく現れてしまうという特徴もあります。
≪どのくらい必要?≫
10歳~11歳男子で、1日707mg※1、女子で1日722mg※1とることが目安となります。この成長期に大切なカルシウム量を食品でとろうとすると、カルシウム含有量が多い野菜「小松菜」で約400g、乳製品でも「プロセスチーズ」で110g、魚介類なら「桜海老」で約100gも食べる必要があります。
※1:日本人の食事摂取基準(2010年度版)による推奨量
☆カルシウムの多い食品☆
多く含まれた食品と言えば、やはり牛乳です。しかしそれ以外にも、以下のような食品に多く含まれているのです。
乳製品
・牛乳コップ1杯分(200cc):220ミリグラム
・チーズ1キレ(30グラム):140ミリグラム
・ヨーグルト1カップ(100cc):120ミリグラム
多い野菜
・大根(50グラム):50ミリグラム
・小松菜(100グラム):160ミリグラム
・モロヘイヤ(50グラム):130ミリグラム
多い小魚
・ししゃも1匹(50グラム):160ミリグラム
・ワカサギ1匹(60グラム):270ミリグラム
・いわし1匹(50グラム):290ミリグラム
・しらす1皿(20グラム):40ミリグラム
≪カルシウムを効果的にとりましょう!≫
カルシウムは体に吸収されにくい性質を持っています。また、私たちの体内に取り込む時に、同じ量だけ体に吸収されるわけではありません。つまり、200ミリグラムを何らかの食品から取り入れても、そっくりそのまま体内に200ミリグラム蓄積されるわけではないのです。また、吸収率には、食品の種類によって違いがあるのです。具体的には、【乳製品>小魚>野菜】の順番で吸収率が高まります。
☆上手にとる方法☆
先ほど紹介した吸収率を踏まえると、牛乳ばかり飲んでいても、効果的に摂取できないという事になります。ではどのような方法が好ましいのでしょうか。
方法1・基本は乳製品
カルシウムを上手に取るためには、まずは乳製品(特にミルク)を毎日欠かさず飲むことです。その量は、1日にコップ1杯で充分です。
方法2・小魚、野菜を料理メニューに入れる
次に毎日の食事に、先ほど紹介したような小魚や野菜を利用したメニューを入れる事です。しらす・大根・小松菜などは、ちょっとした1品料理に加えやすいのではないでしょうか?
方法3・ビタミンDを摂取する
ビタミンDはカルシウム吸収率を上げてくれる栄養素です。ぜひ食事に取り入れましょう。ビタミンDの多い食品には、サンマ・サバ・ブリ・シイタケ・マイタケなどがあげられます。またそれ以外にも、日光を浴びる事で私たちが必要とするビタミンDの半分近くを補う事ができるのです。食事の後に日光に当たる習慣を付けると、なお良いでしょう。
いくらカルシウムが必要だからといって、そればかり食べていてはいけません。バランスの良い食生活習慣が大切なポイントになります。バランスの良い食生活を心がける事には、大きなメリットがあります。身近な割に案外見過ごされがちな点として、心のバランスとの関係があげられます。食事・食生活のバランスが良くないと、脳や筋肉を動かすパワー源が減ります。このことで必要以上にイライラしたり、不安になったりといった影響が出ることを忘れてはいけません。正しい食生活が私たち人間の活動の源なのです。
【参照】
http://www.calcium-pedia.com/calcium_codomo/
http://www.rohto.co.jp/senobic/calcium/