野菜を1日に350gは摂取しよう!

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野菜には、ビタミンB群・C・Eなどのビタミンや、カルシウム・カリウム・鉄などのミネラル、食物繊維等が豊富に含まれています。野菜を食べない人や食べられない人は、抵抗力が弱くなり風邪などの病気にかかりやすかったり、疲労感・倦怠感や体調不良に悩まされたりします。これらの人は、脂っこい料理を好む傾向も強く、脂質を過剰に摂取しがちです。高カロリーで肥満のもとですし、血液の粘着度を高めたり、悪玉コレステロールを増やして、高血圧や動脈硬化症の原因にもなります。高血圧は、めまい・動悸・息切れ・呼吸困難・動脈硬化症・脳梗塞・脳卒中・腎臓障害・心臓障害、などの怖い病気へと発展する危険性が大です。

■緑黄色野菜と淡色野菜

野菜は、「緑黄色野菜」と「淡色野菜」に大別されます。一般的には中身まで色の濃いものを緑黄色野菜、そうでないものを淡色野莱とよんでいます。専門的には、色素成分「カロテン」の含有量が可食部 100gあたり600μg(マイクログラム。1μgは100万分の1g)以上のものを緑黄色野菜、600μg未満のものを淡色野菜と定義しています。カロテンが多く含まれればその野菜は中身まで色も濃いということです。

カロテンはビタミンの一種(体内でその一部がビタミンAに変わることから「プロビタミンA」といわれることもあります)で、ガンや種々の病気に対する予防・治療効果が高いことで注目されています。緑黄色野菜は、病気の予防・治療により効果がありますので、積極的に摂取して下さい。

○緑黄色野菜の主なもの

ニンジン・大根の葉・カブの葉・ホウレン草・エンドウ・カボチャ・春菊・小松菜・セリ・ブロッコリー・ニラ・パセリ など

○淡色野菜の主なもの

モヤシ・白菜・キャベツ・大根・ゴボウ・カブ・ネギ・レンコン・ナス など

●「350g」はどれくらいの量?

350gは、ニンジン(小)でおよそ2本、キャベツの葉(大)でおよそ4枚、大根(中)でおよそ1/2本、タマネギ(大)でおよそ1個、トマト(大)でおよそ1.5個、くらいの量です(すべての合計ではなく各野菜ごとに350gずつです)。食事の度に野菜を食べていれば楽にクリアできる量です。

 

■野菜に含まれる主な成分

○カロテン

食道・胃・肺・結腸・喉頭・前立腺・咽頭・口腔などのガンに有効です。ガンのみでなく、病気全般に対しての抵抗力をつけてくれる強い味方です。皮膚や目の粘膜を健康に保ち、肌に潤いを与えてもくれます。

○ビタミンB

糖質を燃焼させてエネルギーとする際に必要なビタミンです。不足すると、脚気(かっけ)、ストレスやイライラ、目覚めが悪い、身体がだるい、食欲がない、疲れやすい、やる気が出ないなどの症状があらわれます。

○ビタミンB

脂質、糖質、蛋白質を燃焼させてエネルギーとする際に必要なビタミンです。不足すると皮膚や粘膜に炎症があらわれます。

○ビタミンC

ストレスや疲れ・風邪などの病気に対する抵抗力を強め、ガンの予防にも効果があるといわれています。ウィルスを退治する白血球の活動を支援します。鉄分やカルシウムの吸収を良くし、肌を若々しく保ち、シミやソバカスを防ぐ女性のためのビタミンともいわれています。

○ビタミンD

カルシウムの吸収を促進します。不足するとストレスやイライラを感じやすくなります。

○ビタミンE

若返りのビタミンともいわれ、老化防止の効果があります。血管にコレステロールがこびりつくのを防ぎ、血液の循環をよくし細胞の老化を防ぎます。

○食物繊維

便秘や大腸ガンの予防・解消に有効です。悪玉コレステロールを減少させます。栄養素が腸で吸収されるのを緩和・遅延させるので、食べ過ぎたとき・飲み過ぎたときに、血糖値が急激に上昇するのを抑制してくれます。同じ理由で、肝臓に急激な負担がかかるのも抑制してくれます。ナトリウムと結合して体外に排出されるので、塩分の過剰摂取を和らげてくれます。腸内でビフィズス菌などの良性細菌の食料となり、これらの細菌がビタミンを合成するのを促進します。糖尿病、高脂血症、動脈硬化症などの予防・改善に有効です。

○カルシウム

骨の主成分となります。精神を安定させる働きもあります。不足すると、骨が脆くなって骨折しやすくなったり、ストレスやイライラを感じやすくなります。

○カリウム

体内の余分な塩分を追い出す働きがあるため、高血圧や動脈硬化症を予防・改善します。神経を静める働きもあります。

○鉄分

新鮮な血液をつくる大切な成分です。不足すると、貧血や酸欠状態になり、疲れがとれにくかったり、すぐ息切れしたりします。

 

■身近な野菜も「万能薬」

○ニンジン・カボチャ

ニンジンやカボチャには、カロテンが豊富に含まれています。前述のようにガンや病気全般に対して有効です。これらは、緑黄色野菜のなかでもダントツのカロテン含有量を誇っています。カロテンは熱しても栄養価が変わらず、油で炒めるなどして油脂と一緒に摂取すると吸収率が劇的に向上します。

○キャベツ・ブロッコリー・トマト

キャベツやブロッコリーに代表されるアブラナ科の野菜には、インドール類・ジチオールチオニンなどの抗ガン物質が豊富に含まれており、ガンの予防・治療食品として知られています。キャベツには、ビタミンC・Kも多く含まれています。ビタミンKは、血液凝固に必要な栄養素です。トマトには、ビタミンA(カロテン)・C・Pがたくさん含まれています。ビタミンPはビタミンCと協力して毛細血管を強化し、脳出血等を予防します。

○ゴボウ・レンコンなどの根菜類

ゴボウ・レンコンなどの根菜類には、食物繊維が豊富に含まれています。キンピラ・けんちん汁・煮物・炊き込みご飯などにして食べて下さい。

○大根

大根にはビタミンCが、大根の葉にはカロテンが豊富に含まれており、風邪などの病気全般に対して有効です。ジアスターゼというデンプンを消化する酵素も含まれており、消化不良にも有効です。

○キノコ類

キノコ類は、食物繊維が豊富でノンカロリーな食品です。太りたくない人、痩せたい人には特にお薦めです。

 

■野菜摂取のコツ

●生野菜よりも温野菜や野菜炒め

レタス・トマト・キュウリなどの生野菜サラダとホウレン草のお浸しを比べてみると、後者のほうが5倍も多くビタミンCを摂取することができます。生野菜サラダのほうがビタミンをたくさん摂取できるように思われがちですが、かさばっていたり歯ごたえがあったりして、一度に食べられる量は意外と少ないものです。温野菜や野菜炒めにすると、しんなりとしてかさばらなくなり、硬さもとれ甘味も出て、たくさん食べられるようになります。お浸しやゴマ和え・野菜たっぷりの味噌汁・ソテーなどにして毎日でも食べて下さい。

●ビタミンは調理で失われる

ビタミンは、洗う・切る・煮る・蒸す・焼く・茹でる・揚げる、などの調理の過程でかなりの量が失われてしまいます。一般に、水溶性ビタミンは、洗ったり水に浸したりするだけで、水に溶け出てしまいます。加熱によって失われたりもします。長い時間水にさらしたり、切ったまま放置したりせずに、素早く調理したり茹でたりするようにして下さい。煮汁や炒め汁にも多く溶け出していますので、それらも摂取するようにするとより効果的です。脂溶性ビタミンは、熱に強く酸化しにくいので、比較的、自由に調理できます。 キュウリ・カボチャ・ニンジンには、アスコルビナーゼというビタミンCを壊す酵素が含まれています。Cを多く含む食品とこれらの食品を混ぜると、Cが破壊されますので注意して下さい。加熱すると酵素の働きを抑えられます。生食するときは、酢かレモンをかけて、酵素の働きを抑えます。

●野菜だけでもダメ

「ダイエット中だからサラダが主食」という女性をみかけることがあります。たしかに野菜は大事で、美容的な効果もありますが、種々の栄養素をバランスよく摂取しないと、体調に異常をきたして、日常生活を維持することすら困難になってきます。主食(ご飯・パン・麺など)から炭水化物、主菜(肉・魚・卵・豆腐など)から蛋白質・脂質、副菜(野菜、特に色の濃い野菜・キノコ類・海藻など)からビタミン・ミネラル・食物繊維、を基本に毎日三食きちんと食べることを心がけて下さい。

●タバコは、ビタミンCを破壊する

タバコを1本吸う毎に、体内のビタミンCが25~100㎎も破壊されています。25㎎としてもレモン1個分、ホウレン草1杷分に相当する量です。成人の場合、ビタミンCの1日の摂取目安量は約50㎎とされています。喫煙によって破壊される量の大きさを認識して下さい。破壊量を別にしても、喫煙者は吸わない人に比べてビタミンCの消費量が 1.4倍になるといわれています。喫煙者は、たくさんのビタミンCを摂取して下さい(禁煙して下さい)。

●野菜が嫌いな人は

ピ-マンやニンジンなどの色の濃い野菜がだめという人も少なくありません。みじん切りにしてカレーや炒飯、ハンバーグなどに混ぜてみて下さい。ギョウザや春巻の具、油揚げに詰め込むなどしてそれらが入っていることが分からないようにすると食べられることも多いです。

ホウレン草や小松菜がだめという場合には、お浸しよりもゴマ和えやピ-ナッツ和えなどにして食べてみて下さい。ラーメンなどの好物に入れてみると意外と抵抗なく食べられたりもします。ミキサ-にかけてジュ-スにしてみるのもよいでしょう。何をどうしてもだめな場合には、ノリやヒジキ・ワカメといった海藻類を毎日たっぷり摂るようにして下さい。

●ノリ・コンブ・ワカメ・ヒジキなどの海藻類もお薦め

海藻は、良質な蛋白質・ビタミン・ミネラル・食物繊維などをバランスよく豊富に含んでおり、『海の野菜』ともよばれています。大きな特徴はヨードとカルシウムをたっぷり含んでいることです。ヨードは体内の代謝を活発にします。成長期の子供には特に必要なもので、不足すると低体温やイライラなど精神不安の原因になります。抵抗力も落ち老化現象があらわれたりします。アミノ酸と結合して甲状腺ホルモンをつくるため、甲状腺障害の治療には欠かせない食材です。放射線障害を防止する働きもあります。豊富なカルシウムは骨や歯を強くし、イライラを防止します。グルタミン酸という旨味成分も豊富に含まれています。

コンブやワカメ特有のヌメリは水溶性の食物繊維で、血液中のコレステロール値を減少させる働きがあり、便秘の解消・高血圧症・動脈硬化症の予防に効果があります。ヌメリの中にはアルギン酸が含まれ、ある種のウィルスを抑制し、ガン細胞の働きを弱めるとして注目されています。ラミニンという血圧降下物質も含まれており、高血圧症に有効です。サラダ・酢の物・味噌汁や麺類の具などに、毎日毎食でも食べて下さい。

【参考資料】http://www.jomf.or.jp/include/disp_text.html?type=n100&file=2005060104

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