若布は、コンブ目チガイソ科若布属の一年生の海藻です。冬から夏にかけて低潮線より深い岩の上に生育し、全長は約40cm~2mになります。成熟すると茎に「めかぶ」と呼ばれるひだ状の胞子葉をつけます。波の荒いところの若布ほど美味とされています。乾燥若布が一年中出回りますが、生の若布は春が旬です。
カロリーは100gあたり
(原藻、生)16kcal、(乾燥若布素干し)117kcal、(カット若布)138kcal、(めかぶ)11kcal
成分としては、ビタミンA(βカロテン)、ビタミンB群(ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、葉酸、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン)、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンK、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、マンガン、リン、鉄、亜鉛、銅、セレン、モリブデン、クロム、ヨウ素、食物繊維などを含みます。 若布には、カリウム、ヨウ素、食物繊維が豊富に含まれます。カリウムは体内の余分なナトリウム(塩分)を尿とともに排泄してくれるので、高血圧の予防改善に効果があり、特にヨウ素の含有量は全食品中トップクラスで、生の若布100gあたり1600μg含まれます。
ヨウ素は子供の発育を促進したり、基礎代謝を高める作用、高血圧・動脈効果の予防効果があります。
ただし過剰に摂り過ぎると甲状腺腫、甲状腺機能不全、甲状腺中毒症などを引き起こすので注意も必要です。
若布に含まれる水溶性食物繊維の一種であるアルギン酸には、脂質異常症の改善、血糖値抑制作用、糖尿病の予防改善、肥満防止、整腸作用などがあります。更に注目なのが同じく水溶性食物繊維の一種であるフコイダンで、上記の作用のほか、胃粘膜の保護、アポトーシス(Apoptosis)誘導による抗ガン作用があるとされています。また、抗酸化作用のあるβカロテンやビタミンCも野菜並みに含まれています。
また、「若布」で意外と知られていないのが、アレルギーや花粉症の症状の改善が期待できるということです。
若布にEPAが含まれている?!
脂質を形成している脂肪酸は、大別すると飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の二種類があり、よく耳にするEPA (エイコサペンタエン酸)は不飽和脂肪酸であり、不要になったコレステロールを体外へ出すのを助ける作用があります。EPAは、いわしやさんま、さばなどの青魚に含まれているイメージが強い成分ですが、実は若布にもその成分が存在していることをご存知でしょうか?
若布にも、陸に生息している植物では通常みることのできないEPAや、その他の不飽和脂肪酸が含まれています。
EPAには、生活習慣病や感染症、炎症の予防、情緒を安定させる作用が期待されていますが、近年の研究では花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー症状を改善させる働きがあることもわかってきました。
EPAの働きとは
花粉症やアレルギーは、プロスタグランジンなどの物質が原因で起こると考えられています。若布などに含まれるEPAには、アレルギーを促進させてしまうプロスタグランジンや鼻閉や瞼のかゆみの原因であるロイコトリエンの量を低下させる働きがあるといわれています。
【参考資料】